次世代の日経225!

最近「証券化」という言葉を目にしない日はありません。
新聞を読めば2日に1回は証券化に関する記事や広告が載っています。
テレビを見れば証券化のニュースやCMが流れます。
書店に行けば証券化と書かれたおびただしい種類の本が並べられています.実際のビジネスも活発で住宅ローンや不動産から果ては音楽使用のロイヤルティーや映画の興行収入まで「こんなものが!」と思うものまで証券化されるようになっています。
証券化か経済の中で果たす役割が拡大しつつあること。
これは確かです。
でも証券化って何でしょうか。
こう思って改めて記事や広告を眺め売り込みのインベストメント・バンカーの話に耳を傾けても聞きなれない言葉が並べ立てられ何か特別なこと最先端のことすばらしいことというイメージが先行してしまうだけです。
そのためかなかには「証券化をすれば必ず儲かる」というような“雰囲気”になってしまっている人さえ見受けられます。
これはいけません。
妙な間違いをしでかさないためにも証券化の中身をわかっておいた方がよいのですが詳しく理解することが難しいのも事実です。
しかし私たちは何でも詳しく理解してから利用しているわけではありません。
例えば車を考えてください。
私も好きでよく運転しますが車の中身がどうなっているか詳しくは知りません。
メカニックや車関係の仕事に携わる人を除けばおそらくほとんどのドライバーがそうでしょう。
でも問題はありません。
内部の詳しい仕掛けを知らなくても車をどう利用すれば良いか私たちは正しく理解しています。
車で海を渡ろうとか空を飛ぼうなんて思う人は決していません。
「車は地面の上を走り人や物を運ぶ手段である」。
こんな車の基本的な機能を皆が当たり前のこととして正しく理解しているのでそれ以上詳しいことを知らなくても車を様々な用途に上手く利用できるのです。
それがそもそもどんな機能を果たし何かできて何かできないのか。
基本的な機能が当たり前のこととして広く理解されることが多くの人々の創意工夫を生み社会全体での有効な利用を可能にする鍵となるのです。
証券化も同じです。
証券化はいまのところは先端のことかもしれませんが別に特別なことでもすばらしいことでもありません。
社会の中で何らかの役に立てる“道具”にすぎないからです。
確かに証券化の中身を全員が詳しく知ることは無理な相談ですが車の場合と同様その基本的な機能が当たり前のこととして多くの人々に理解されることが社会全体で正しく利用される鍵となります。
車が地面の上を走り人や物を運ぶ以上のものでも以下のものでもないように証券化の手法もそれが果たす役割以上のものでも以下のものでもありません。
ここ数年わが国の金融市場では「資産の証券化」が急速な発展を遂げつつあります。
証券化に関する記事が毎日の紙上を賑わせていることからもその様子がうかがえるでしょう。
必要な法律や制度の整備も推し進められわが国における証券化市場はますます発展するものと大きな期待を集めています。
資産の証券化とは企業等が保有する資産をオフバランス(帳簿外)化して切り離しその資産が将来生み出すキャッシュフロー(金銭的収益)を支払い金の原資にあてる金融商品を発行し売却することです。
資産の証券化は1970年米国の政府系金融機関であるGNMA、通称ジニー・メイによって住宅ローン債権を裏付けに証券を発行する手法として開発されました。
これに続き1971年にはやはり政府系金融機関であるFHLMC、通称フレデイー・マック、がさらに1981年にはFNMA、通称ファニー・メイが住宅ローン債権の証券化を開始しました。
これらの政府系金融機関はわが国で言えば住宅金融公庫に対応する役割を果たし個人向け住宅建設への資金供給の円滑化を目的に住宅ローンの証券化を推進して行きました。
この結果住宅ローンの証券化市場は大発展を遂げ規模のうえから現在の米国の証券化市場で中心的役割を果たしています。
一方このように開発された証券化の手法は1980年代には自動車ローン債権やリース・クレジット債権等の他の資産へと応用されて行きました。
また投資家のニーズに合わせて単純なものから複雑な支払いの構造開発をされ、証券化市場はますます発展することになったのです。
1990年代にはRTCによってS&Lの不良債権問題の処理方法の一つとして商業不動産担保ローンの証券化か利用され商業不動産担保ローンの証券化市場の発展を生み出すこととなりました。
さらにREIT(リート)と呼ばれる不動産投資信託の市場も証券化の一種として発展を続け不動産市場への資金供給を支える役割を果たしています。
これらの証券化金融商品の市場残高はここ20年の間増え続けています。
1999年時点で評価するなら住宅ローンの証券化は約2兆3000億ドルREIT(不動産投資信託)を除くその他の資産の証券化は7400億ドルあります。
またREITの市場規模も1200億ドルに達しています。
現在の米国においては証券化金融商品の市場は残高で比較すれば国債や社債の市場に匹敵するような非常に大規模な市場となっているのです。
これらに加え1990年代半ばにはそれまで保険・再保険市場で負担してきた保険リスクを資本市場に負担させることを目的として台風や地震等の大規模自然災害の保険リスクを証券化することが始まりました。
さらに1990年代後半には主に電力自由化を背景に顕在化した電力価格と需要変動のリスク管理のため気温を中心とする天候変化のリスクの証券化も行われるようになりました。
このようにこれまでの経験から想像できる範囲をはるかに超えてその対象を拡大しつつ証券化市場は発展を続けているのです。
このような米国の証券化市場に対しわが国における証券化は(以前にも抵当証券等の小規模な証券化商品は存在しましたが)本格的には1993年の特定債権法(特定債権等に関わる事業の規制に関する法律)の施行から始まりました。
特定債権法はリース債権やクレジット債権を対象に証券化を行うための法律でリース会社や割賦販売業者による資金調達の円滑化を目的に整備されたものです。
1996年施行令の改正によって特定債権法に基づく証券が有価証券として扱われることになるとリース・クレジット債権の証券化市場は急拡大し規模のうえで現在までのわが国の証券化市場で中心的な役割を果たしています。
とはいえ特定債権法による資金調達残高はたかだか3兆円で米国に比べると日本の証券化市場の規模はまだ非常に小さなものにとどまっています。
また米国で中心的な住宅ローンの証券化もつたばかりです。
保険リスクの証券化には世界をリードする事例がいくつもありますが天候リスクの証券化は(電力市場が自由化されていないこともあって)まだ小規模なものにとどまっています。
証券化市場の構成内容には米国とわが国では大きな相違があるのです。
もちろん証券化のための制度の整備は進みつつあります。
1998年のいわゆるSPC法(特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律)はレ証券化の対象となりうる資産と発行者となりうる主体の範囲を広げ証券化をより容易にする制度を整えることを目的とする法律です。
発行主体を金融機関のみならず一般の事業会社にまで広げ不動産も対象とする証券化も可能にしたためSPC法に基づく証券化の規模は急拡大し2000年3月末までにSPC法による証券化の残高は約7000億円に上っています。
さらに1998年の債権譲渡特例法の施行や2000年のSPC法の改正(資産の流動化に関する法律)等により証券化を行うために使い勝手の良い法的基礎の整備が急ピッチで進められています。

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